1. はじめに
Pythonを学び始めた方にとって、数値処理は基本中の基本。その中でもよく使われるのが、「絶対値を取得するabs()関数」です。この記事では、Python|絶対値を取得する:abs()というテーマで、関数の基本的な使い方から実務や応用での活用方法までを丁寧に解説します。
abs()関数を使えば、正負にかかわらず「大きさ」だけを取り出すことができるため、データ分析・数学処理・ソート処理など幅広い場面で活躍します。Python初心者でもすぐに理解できるよう、具体的なコード例と実行結果付きで紹介していきます。
2. abs()関数の基本解説|Pythonで絶対値を取得する方法
abs()関数とは?
abs()
は、絶対値(absolute value)を求めるための組み込み関数です。絶対値とは、数直線上で「0からの距離」を意味し、常に正の値または0になります。
Pythonでは以下のように使います:
# 正の数の絶対値
print(abs(10))
# 負の数の絶対値
print(abs(-15))
実行結果:
10
15
abs()関数の基本的な仕様
- 引数には数値(int, float, complex)を渡せる
- 戻り値は絶対値(数値型)
- 負の数を渡すと符号が取り除かれる
浮動小数点数(float)も扱える
abs()は整数だけでなく、小数にも使えます。
# 小数の絶対値
print(abs(-3.14))
実行結果:
3.14
複素数(complex)への対応
Pythonでは複素数の絶対値も計算できます(=複素数の大きさ、ユークリッド距離)。
# 複素数の絶対値
z = 3 - 4j
print(abs(z))
実行結果:
5.0
これは √(3² + 4²) = 5
という数学的処理と一致します。
3. よくある使い方・応用例
リストの中で絶対値が最も小さい数を探す
abs()を使えば、値の大小ではなく「距離の近さ」で比較できます。
# 絶対値が最も小さい数を取得
nums = [-10, -2, 0, 3, 5]
min_num = min(nums, key=abs)
print(min_num)
実行結果:
0
ソート時に絶対値で並び替える
abs()をキーとして使うことで、絶対値順に並べ替えが可能です。
# 絶対値でソート
nums = [-7, 1, -3, 4, -2]
sorted_nums = sorted(nums, key=abs)
print(sorted_nums)
実行結果:
[1, -2, -3, 4, -7]
差分の大きさを比較して類似度チェック
例えば、スコアの誤差や距離の差を比較したい場合に便利です。
# 予測と実測の差分を絶対値で比較
pred = 98
actual = 100
error = abs(pred - actual)
print("誤差:", error)
実行結果:
誤差: 2
4. abs()の注意点・エラー対策
abs()にリストや文字列は使えない
abs()は数値型にのみ使用できます。リストや文字列に対して使うとTypeErrorになります。
# 間違った使い方
print(abs("abc"))
実行結果:
TypeError: bad operand type for abs(): 'str'
対策:数値であることを確認してから使う、またはtry-except文で例外処理を加えると安心です。
# 例外処理で対策
try:
print(abs("abc"))
except TypeError:
print("数値ではないため、絶対値は取得できません。")
実行結果:
数値ではないため、絶対値は取得できません。
5. まとめ
abs()
は、数値の絶対値(正の値)を取得するための関数- int, float, complex 型に対応しており、広く使われる
- ソートや最小値取得、誤差分析など実務的な処理に活用できる
- 非数値型に対して使うとエラーになるため、例外処理を意識する
絶対値の取得はPythonに限らず、データ分析・統計・ゲーム開発など様々な場面で重宝します。特に「差分をとって誤差を測る」といった実務処理での利用頻度は非常に高いため、abs()は必ずマスターしておきたい基本関数です。
今後、条件分岐やソートなどと組み合わせることで、さらに強力なスクリプトが書けるようになるでしょう!