Python|match-case文の基本と使い方(Python 3.10以降)

1. はじめに

本記事では、Python 3.10以降で導入されたmatch-case文の基本と使い方について解説します。Python初心者から中級者の方に向けて、具体的なコード例を交えながらわかりやすく説明します。
match-case文は、Pythonにおける「パターンマッチング」を実現する強力な構文で、条件分岐をより直感的かつ柔軟に記述できるようになりました。
この記事を読むことで、match-case文の使い方だけでなく、どのような場面で効果的に活用できるのかを理解し、Pythonコードの可読性と保守性を向上させる方法がわかります。

 

2. Pythonのmatch-case文の基本解説

2-1. match-case文とは?

match-case文はPython 3.10で導入された構文で、複雑な条件分岐を簡潔に記述するための「パターンマッチング」を可能にします。従来のif-elif-else文に比べて、特定の値や構造にマッチした場合の処理を直感的に書けるのが特徴です。

2-2. 基本的な構文

以下はmatch-case文の基本的な構文例です。

value = 2

match value:
    case 1:
        print("値は1です")
    case 2:
        print("値は2です")
    case _:
        print("1でも2でもありません")  # ワイルドカード(すべてにマッチ)

実行結果は以下の通りです。

値は2です

2-3. ワイルドカード(_)の役割

case節の最後によく使われる「_」はワイルドカードで、どんな値にもマッチします。これは「default」的な役割を果たし、どのパターンにも当てはまらなかった場合の処理を記述できます。

 

3. よくある使い方・応用例

3-1. 複数の値に対するマッチング

case節で複数の値をまとめてマッチさせることができます。

command = "start"

match command:
    case "start" | "go" | "run":
        print("処理を開始します")
    case "stop" | "end":
        print("処理を終了します")
    case _:
        print("不明なコマンドです")

このように、複数の値を縦棒「|」で繋げて1つのcaseにまとめられます。

3-2. 型や構造を使ったパターンマッチング

match-case文は変数の型やデータ構造にもマッチできます。例えばリストの長さや構造に応じた処理です。

data = [1, 2, 3]

match data:
    case [x, y, z]:
        print(f"3つの要素: {x}, {y}, {z}")
    case [x, y]:
        print(f"2つの要素: {x}, {y}")
    case _:
        print("その他のリスト")

出力例:

3つの要素: 1, 2, 3

3-3. 辞書のキーと値をパターンマッチ

辞書の特定のキーと値にマッチすることも可能です。

point = {"x": 10, "y": 20}

match point:
    case {"x": 0, "y": 0}:
        print("原点です")
    case {"x": x, "y": y}:
        print(f"x座標: {x}, y座標: {y}")
    case _:
        print("不明なポイント")

この例では辞書の中の値を変数に束縛して扱うことができます。

3-4. 実務での活用例

実務では、ユーザーの入力やAPIから受け取るデータの種類に応じて処理を分岐する際に便利です。たとえば、コマンドの種類別処理やデータ形式ごとの処理をスッキリ書けます。

 

4. 注意点・エラー対策

4-1. Python 3.10以降でのみ使用可能

match-case文はPython 3.10以降で導入された機能なので、それ以前のバージョンでは文法エラーになります。必ずPythonのバージョンを確認してください。

4-2. パターンマッチングの対象としない型に注意

文字列や数値はもちろん、リストや辞書、クラスインスタンスのマッチングも可能ですが、一部の型や複雑なオブジェクトでは期待通りにマッチしないことがあります。特にユーザ定義クラスの場合はマッチ方法を理解しておきましょう。

4-3. インデントミスに注意

match-case文はPythonの構文ルールに従い、case節のインデントが重要です。if文同様に適切なインデントを守らないと構文エラーになります。

4-4. パターンの重複や順序に注意

マッチングは上から順に行われるため、より汎用的なパターンを上に書くと、それ以降のcaseに到達しなくなることがあります。具体的にはワイルドカード「_」は必ず最後に書きましょう。

 

5. まとめ

本記事ではPython 3.10以降で使えるmatch-case文の基本と使い方を丁寧に解説しました。
match-case文はif-elif-else文よりも読みやすく、複雑な条件分岐を簡潔に書ける強力な構文です。
型や構造に応じたパターンマッチングができるため、データの種類ごとに柔軟な処理が可能になります。

実務ではユーザー入力の振り分けや、APIレスポンスの処理分岐などに活用すると効果的です。
初めはシンプルな例から慣れていき、徐々に複雑な構造マッチングを試してみることをおすすめします。
Pythonコードの可読性と保守性向上のために、ぜひmatch-case文をマスターしましょう!

学習のコツ:まずはif文との違いを意識しながら、小さなサンプルコードを何度も書いて動かしてみることが理解の近道です。エラーが出たら構文とインデントを見直す習慣をつけましょう。

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