1. はじめに
Pythonでは、複数行の文字列を扱う場面が意外と多くあります。そんなときに便利なのが「トリプルクォート」です。本記事では、Python|複数行の文字列を扱うトリプルクォートの使い方について、初心者にも分かりやすく解説します。
トリプルクォートを使えば、改行を含んだ長い文字列や、説明文、HTMLテンプレートなどをスッキリ記述できるようになります。この記事を通して、トリプルクォートの基本から応用、注意点までしっかり理解しましょう。
2. トリプルクォートの基本構文と使い方
2-1. トリプルクォートとは?
Pythonにおけるトリプルクォートとは、'''(シングルクォート3つ)
または"""(ダブルクォート3つ)
で囲まれた文字列を意味します。これにより、複数行にまたがる文字列をそのままコードに書くことができます。
2-2. 基本的な使い方
text = """こんにちは、
Pythonの世界へようこそ!
この文章は複数行です。"""
print(text)
実行結果:
こんにちは、
Pythonの世界へようこそ!
この文章は複数行です。
このように、改行を含めたい文字列を簡単に書けるのが特徴です。
3. トリプルクォートのよくある使い方・応用例
3-1. ドキュメンテーション文字列(Docstring)
関数やクラスの説明文を書くときに、トリプルクォートがよく使われます。
def greet():
"""この関数はあいさつを表示します。"""
print("こんにちは!")
実行結果:
(何も出力されませんが、関数には説明文が追加されています)
help(greet)
とすると、このDocstringが表示されます。
3-2. HTMLやSQLテンプレートの埋め込み
トリプルクォートはテンプレート文字列を扱うときにも便利です。特にWeb開発やデータベース操作での活用例を見てみましょう。
HTMLテンプレートの例
html = """<html>
<head><title>Python Blog</title></head>
<body>
<h1>ようこそ!</h1>
</body>
</html>"""
print(html)
実行結果:
<html>
<head><title>Python Blog</title></head>
<body>
<h1>ようこそ!</h1>
</body>
</html>
SQL文の例
sql = """SELECT *
FROM users
WHERE age > 20
ORDER BY name;"""
print(sql)
実行結果:
SELECT *
FROM users
WHERE age > 20
ORDER BY name;
3-3. コメント代わりに一時的に使うケース
コード全体を一時的に無効化したいときに、トリプルクォートを使う方法もあります。
"""
以下はテスト中のコードです
print("開発中機能A")
print("開発中機能B")
"""
実行結果:
(何も出力されません。コメント扱いになります)
ただし、正式なコメントとして使うのは非推奨で、#
で始まるコメントが基本です。
4. トリプルクォート使用時の注意点とエラー対策
4-1. クォートの種類を混同しない
'''
と"""
は両方使えますが、開きと閉じを揃える必要があります。以下のように書くとエラーになります。
text = """これは正しくない文字列'''
実行結果:
SyntaxError: unterminated triple-quoted string literal
4-2. 意図しない空白や改行に注意
トリプルクォートでは、改行や空白もそのまま文字列に含まれます。インデントして書くと、余計な空白が出力されることがあります。
text = """
この行はインデントされています。
結果にもスペースが表示されます。
"""
print(text)
実行結果:
この行はインデントされています。
結果にもスペースが表示されます。
対応策としては、textwrap.dedent()
関数を使う方法があります。
5. まとめ
- Pythonのトリプルクォート(
'''
や"""
)は、複数行の文字列を簡単に記述する手段 - Docstring、HTML・SQLテンプレート、一時的なコードの無効化などに活用可能
- クォートの種類・インデント・改行の扱いに注意が必要
トリプルクォートをマスターすれば、可読性の高いコードが書けるだけでなく、実務でも効率よく記述できるようになります。特にドキュメント記述やテンプレート構築で威力を発揮するため、ぜひ積極的に使ってみましょう。
学習のコツ:最初はエディタで実際に出力を確認しながらトリプルクォートを練習するのがオススメです。