1. はじめに
Pythonには「is」と「==」という2種類の比較演算子があります。初心者にとって、この2つの違いは混乱のもとになることが多いです。
本記事では、「Python|is と == の違いとは?オブジェクト比較の落とし穴」というテーマで、それぞれの使い方や違い、注意点を実際のコードを通じて詳しく解説していきます。
特に、リストや辞書、Noneなどのオブジェクト比較で思わぬバグを防ぐためにも、この違いをしっかり理解しておきましょう。
2. Pythonにおける is と == の基本解説
2-1. == の意味:値が等しいか比較
「==」は、オブジェクトの値(内容)が等しいかを比較する演算子です。リストや文字列などの中身が同じであれば、異なるオブジェクトであってもTrueになります。
a = [1, 2, 3]
b = [1, 2, 3]
print(a == b) # 値が同じか比較
実行結果:
True
2-2. is の意味:同一オブジェクトか比較
「is」は、2つの変数が同じオブジェクトを参照しているかを比較します。内容が同じでも、異なるインスタンスであればFalseになります。
a = [1, 2, 3]
b = [1, 2, 3]
print(a is b) # 同じオブジェクトかどうか比較
実行結果:
False
2-3. is はメモリアドレスの一致を見ている
Pythonでは、変数はオブジェクトを参照しています。「is」は、2つの変数が同じメモリアドレスを参照しているかをチェックします。
a = [1, 2, 3]
b = a
print(a is b) # 同じオブジェクトを参照している
実行結果:
True
3. よくある使い方・応用例
3-1. Noneとの比較には is を使う
Pythonでは、Noneとの比較には「is」を使うのが推奨されています。「==」でも比較できますが、「is」のほうが安全で高速です。
value = None
# よりPythonicな書き方
if value is None:
print("値がNoneです")
実行結果:
値がNoneです
3-2. == を使う場面:値の一致判定が必要な場合
辞書のキー比較や文字列一致など、値そのものが同じか確認したい場合は「==」を使います。
x = "hello"
y = "he" + "llo"
print(x == y) # 値の比較
print(x is y) # オブジェクト比較
実行結果:
True
True # この場合、Pythonが文字列を最適化して同じオブジェクトを参照している
4. 注意点・エラー対策
4-1. is を使って値を比較しない
次のようなコードは一見正しく見えますが、意図しない結果になることがあります。
x = 256
y = 256
print(x is y) # True(Pythonが最適化)
x = 300
y = 300
print(x is y) # False(別オブジェクト)
実行結果:
True
False
Pythonは一部の整数値(-5〜256)をキャッシュしているため、一見同じ数値でも is の結果が変わることがあります。値の比較には「==」を使いましょう。
4-2. 文字列の is 比較も注意が必要
短い文字列はキャッシュされるため、is でも True になることがありますが、常にそうとは限らないので信頼できません。
a = "python"
b = "".join(["py", "thon"])
print(a == b) # True
print(a is b) # False になることもある
実行結果:
True
False
5. まとめ
- == は「値が等しいか」を比較する演算子
- is は「同一オブジェクトか」を比較する演算子
- Noneとの比較は is を使うのがベストプラクティス
- キャッシュや内部最適化により is の挙動が変わることがある
実務では、バグの原因になりやすい比較ロジックを理解することが大切です。特に辞書のキー比較、条件分岐のNoneチェックなどで、正しく is / == を使い分けられるようになれば、Pythonコードの安定性が向上します。
学習のコツは「意図した動作をコードで試し、結果を観察すること」。小さな検証を繰り返すことで、自分の理解を深めていきましょう。